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バスナビゲーションシステムに関する研究
鴫原 育子 ・ 山田 稔 ・ 斎藤 修 ・ 兼子 恭平

開発物語

3.路線バス情報提供に対する利用者の意識

① ヒアリング調査

「バス利用において、欲しい情報は何か」を明らかにすることがこの調査の目的であります。
そこでアンケートの質問項目を作成するにあたって、日常的にバスを利用している人にいつも感じていることを問うヒアリング調査を行うことにしました。
調査対象者は通勤、通学でバスを利用している人、約10名にご協力頂き、バス利用時をイメージして思い付く限りを語って頂き、それを「通勤・通学」「普段乗らない初めての路線」「目的地に急いで行きたいとき」に分類。その結果が表1です。

表-1 バス利用者の知りたい情報ヒアリングの結果



重要







重要
でない
通勤・通学 初めての路線 急いでいる時
今,バスはどこまで来ているか 行きたいところへ行けるのか 目的地には何時に着くか
最寄りのバス停の到着時間は何時か どこ行きのバスか 今,バスはどこまで来ているか
目的地には何時に着くか バス停はどこにあるか 電車の時間に間に合うのか
どちらの路線がいいか 料金はいくらか バスを持つより歩いた方がよいか

② アンケート調査の概要

上記の結果を基にアンケートを作成し、バス会社への要望という形で情報提供ニーズについて調べることにしました。調査対象者は、日常的にバスを利用しているかには関係なく集めることにし、Facebookやメール等で呼びかけ、合計で93名の協力を得ることができました。

図-1
図-1 バス会社への要望 アンケート結果
年齢構成(総数93人)
図-2
図-2 バス会社への要望 アンケート結果
バス会社への要望(回答人数67人)
図-3
図-3 バス会社への要望 アンケート結果
バスロケシステムを導入して欲しい理由(回答人数48人)
 

③ アンケート調査の結果

調査内容として回答者の属性(年齢・性別・職業等)、普段のバス利用状況、バス会社への要望を問う内容とし、それを自由記述方式のアンケートとしました。

(a.) 属性と人数

図-1のように、構成を市町村の人口で分け、茨城県は15万人未満……14名(A地域)、
15万人以上……51名(B地域)、茨城県外では50万人未満……16名(C地域)、
50万人以上……12名(D地域)の合計93名の回答を得ることができました。

(b.) バス利用するにあたっての不安

アンケートは自由記述方式のため、回答を全て読んで使われている言葉を抽出しました。その後、もう一度アンケートから抽出した言葉毎に集計を行った結果、バス会社への要求は①路線と本数、②時間(ダイヤ)、③料金、④情報提供と⑤その他に集約されることが分かりました。(図-2)

また、実際にバスロケシステムを導入するのにあたって、何を期待しているかを問うと「時間の無駄がなくなる」「行動が決められる」「不安解消」「バス遅延情報が分かる」というものでした。(図-3)

④ まとめ

今回のアンケートによると、バスサービスがきわめて乏しい地域ではサービス自体の向上を市民は強く望んでいますが、一定のサービスがなされている地方都市ではバス運行情報の提供のニーズが相対的に高いです。
これら地方都市のバス会社の経営状況は必ずしも良いとは限らないのですが、そのようなバス会社でも実施可能な方法で、バス利用者が必要とする情報を提供できるシステムが生まれます。
また、利用者が望む情報の内容は幅広いですが、おおむね利用者の属性によって重要な項目を整理することが可能であり、それぞれの人が必要とする情報を効率よく検索できることがシステムに求められると言えます。

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